2010年11月16日火曜日

春のめざめ(11.12マチネ)京都

関西・中部地区遠征の2日目は京都。
京都の朝は寒々として、雨が降っていた。
しばらくすると雨は上がり、青空が見えて
気持ちのいいお天気になった。

さてさて、

この日は、自由劇場以外のところで初めて見る「春のめざめ」
京都へ来るのは1年ぶり。
ここは、最高の場所にあります。
電車をおりても、雨風に当たる事無く劇場へ入れる。
いい場所です、ほんとに。

「春のめざめ」は、東京・名古屋・京都と渡り、
だんだんと、特異な舞台スタイルの知名度も上がってきたことと思います。
初演のころから、ちょくちょく見ている舞台。
今回も、胸をえぐられそうになりながら、メルヒやモリッツたちの生き様を
体全体で感じ、涙を流しながら舞台を観ていました。

過去のめざめ観劇の際にも書いていますが、芽吹いたばかりの若葉のような少年達が、一段一段階段を登ろうとしているところを、不甲斐ない大人たちの不甲斐ない行動や言動に、引きずりおろされる。
全く、彼らを何だと思っているんだろう・・・
若葉には、ちゃんと水もやらなくちゃならないし、太陽にもあてなくちゃならない。
なのに、むしり取るような大人のやり方に、いつも憤りを感じます。
めざめを見るたびにその思いが強くなります。
イルゼもマルタも自分の居場所がない。
2人とも父親のオモチャにされ、本来あるべき「人の心」がすさんでしまい、毎回彼女たちを見てると、胸が熱くなってきます。

モリッツとベンドラの死は、メルヒオールにとって大切なものが次々と失われることは、いたたまれないことです。
彼の実直で清らかな心を、なぜ、周りは理解しようとしないのだろう・・
この日も、最初から泣きっ放し。
必死に生きようとする少年達の姿に最後まで見入っていました。

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今回のめざめでは、ハンシェン役からメルヒオール役にコンバートした一和君と、モリッツ役では初めて見る玉井君など、見所もいっぱいありました。

一和君のメルヒ。

想像がつかないかもしれません。
でも、やり始めたばかりの役を一生懸命にやっていたと思います。
あの、いつも何を考えているか解らない得体の知れない不思議なハンシェンをやっていた一和君が、マジメで利発な少年メルヒオール役。
第一印象・・・
同じ一和君だとは思えませんでした。
あまりにも一生懸命姿に胸を打たれました。

ちょうどこの日、終演後にオフステージトーク(イベント)があり、参加してきました。そのイベントで参加者の人がこんな質問をした。
「初めてやるメルヒオール、役作りをしたんですか?」
その問いに、一和君は、「あんまり演じないように心がけてるヨ」と、意外にサラリと答える。
どうやら、「演じる」とガチガチになるので、ナチュラルにやろう言うことらしい。
普段の一和君は、とてもマジメそうな青年に見えました。

そう言えば、物語りの後半に出てくる曲、ベンドラが妊娠し、母親に「相手はだれなの!?」と、追及されるシーン。
「Whispering」と言う曲。
ベンドラを演じる香純ちゃん、スタンドマイクの前で静かに歌いだすと、目には涙が浮かんでいます。
その涙がポロリと頬をつたい、いつもシッカリと歌いきる香純ちゃんの声が小さくふるえ、時折肩をヒクっとさせながら歌っていました。
こんな香純ちゃんを見るのは初めてだったので、ちょっとびっくりしました。
香純ちゃんは、ベンドラそのものになっていたんですね、きっと・・。


これは、イベントの最後に、中野今日子さんが言っていた話ですが、
「めざめは、準備期間を含めてもう二年近く経っているけど、最初は、ヒドかったのよお、芝居が(笑)みんなヘタくそでね(笑)。けど、今みんな上手になったわよ。
何でも、そうだけど、だんだんよくなるの。
お稽古だけじゃなくって、こうして板(舞台)の上に上がって、皆さんにサラして行くことで、成長する。なんと言ってもお客様のおかげね。
本当にみなさんありがとう。」と感謝の意を述べていらっしゃいました。
そう言った時、イベントの司会を務めた撫佐さんが、感極まって泣き出しそうになっていました。
撫佐さん、ちょっと涙もろいようです。

最後にこんなこと中野さんお話してました。
「ヘタくそだったみんなが段々上手になってきて、今のメンバーでやれるのもそう長くはないと思うの。そうしたらまた、へたくそな子たちがやってきて大きくなっていくと思うワよ」

確かに、そうかもしれません。
俳優さんとして成長をしていけば、ベンドラもメルヒも身の丈に合わなくなって行きます。
今のメンバーで見れるめざめは、京都が最後かもしれません。
大きく成長し、また一歩先へ進もうとする俳優さん達の姿。
始まったころは力みっぱなしに見えたけど、今はすっかり自然体で動き回るようになっています。
若い俳優さん達の熱のこもった舞台、是非これからも続けていってほしい。
どんどん新しい人たちに出てきてほしい。

イベントの日記は、また後で話します。
俳優さんにいろいろ質問したり、クイズ大会やったり。
楽しかったですよ~。

それでは・・



遠征最終日は、名古屋でオペラ座マチソワ。
マスカレード!

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